Vol. 3
         
 
Vol. 3 日本人の足に合う靴作り(クリーピング)
佐藤正男さん
サト企画
 
サト企画の『躍進』の秘密は?
サト企画は、中堅メーカーに中卒で勤め、デザイン、裁断工を経て独立した佐藤正男(61歳)と奥さんで営む、この街ではありふれた『個人営業の町工場』です。
長引く不況、外国靴の輸入、職人さんの高齢化…。 倒産、転廃業の相次ぐ製靴業界で、この7年間で、作業場を増やし、若い職人さんも3人も迎え入れました。また、売上も毎年ほぼ『倍々ゲーム』を続けてきました。
その秘密は? クリーピング技術の導入でした。
 
クリーピング加工とは?
◆「一度足を入れてみたら、これまでの靴とは、まったく違う履き心地なのでびっくりした」
   靴メーカーのサンプル・足入れモデルの方
◆「サト企画さんの方法は、一言でいえば、これまでの靴造りでは不可能と思われたことを可能にした。
平面である、一枚の靴皮を、デザイン(木型)通りの立体のラインに仕上げることを可能にした」
   ある靴メーカーの企画担当者
下は加工前、中・上と加工する
 
日本人の足に合う靴作りを
これまでの靴作りは、裁断された靴皮を、木型にまいた状態で底付けをし、それから製甲・仕上げの過程で、立体的な形の「くせ」をつけてきました。
クリーピングは、底付け・製甲の前にデザイン通りの形にしてしまう新しい靴作りの工程です。この工程を取り入れるとデザイン通りで型くづれしにくく、履きやすい靴が作れます。
佐藤さんの口癖は、「日本の靴は、軍靴とともに普及した面もあり、靴に足を合わせる傾向があった。足に靴を合わせる靴作りに変えなくては」ということです。
若い職人さんたちの新仕事場
若者とともに「靴作り」(モノ作り)の輪を広げたい
サト企画には、メーカーの幹部や企画(デザイン)担当者が視察に京都、山形をはじめ全国から訪れます。
また、靴専門学校の在校生・卒業生をはじめ、靴作りにたずさわる若者がかわるがわる訪れ、靴作りの意見や情報交換しています。
あと何年この仕事が(体力的に)出来るかわからないが、靴作りを含め『モノ作り』には、かかわっていきたい。この業界でそだってきたのだから、若い人たちとの交流は自分にも刺激になるし、何か手伝えることがあれば、うれしいですね。と佐藤さんは語ります。
                06. 04
サト企画  
東京都台東区浅草5-42-11
浅草商工会館3F
 03(3874)7309
08年3月から佐藤さんは、浅草商工会館3Fの「靴の共同作業所」で若者をはじめ後進の指導・援助に活動の重点を移しています。