35年前のわたしたちの最初の申告の時でした。民商の班会に妻と二人で参加し、書き方を見てもらったり、説明を聞いたりしたが、ちんぷんかんぷんで全くわかりませんでした。わかったことといえば、自分達の所得の低さだけでした。それでもなんとか完成させ、デモに参加し、提出したときは、ほっとしたものでした。
10年ほど同じことを繰り返し、自分達業者(職人)は、いつまでしごとがあるのか常に不安で、「会社に勤めている人は楽なんだな」と思えたものでした。
革靴の自由化の波が来て、「今でも所得が低いのに、輸入自由化で確実に、仕事が少なくなる」と思い、妻と二人で靴業界の中での生き残りのための勉強を始め、各種の講演会などに手弁当で出かけました。生き残りのための『新技術』の開発・確立に努めました。
そんな中で、自主計算も慣れてきて、申告書の作成だけではなく、取引先メーカーの受注状態を数年分比較して先を予測・分析する武器にも使えるし、新しい機械の導入や、若い弟子(従業員)を増やすための、資金の見通しを立てるためにも役立つことがわかってきました。
おかげさまで、わたし達は、不況の中で、売上を伸ばしていくことができました。仕事も無事、4人の弟子(従業員)に引き継いでもらうことができました。自主申告のための計算をただ申告のためだけにするのはもったいないと思っています。
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