革とモノづくりの祭典
第7回 浅草エーラウンド2016みてある記
10/14〜16
石川富也
浅草エーラウンドとは「浅草北部地区」に散在する事業所の祭典です。各社が自社の製品の制作過程をお客様と体験する、発見する、或いはモノづくりを支える現場に潜入できるなどの催しを中心に各種行事が行われています。 この地域は皮革製品やモノづくりがかなり以前から盛んでした。かつては浅草民商の会員の業種も、靴・履物関係が多数を占めていた時期もありました。そして今も、その協力共同の姿勢は変わりません。民商会館の中には、「自分ブランド」を目指す若者たちむけの作業所として、6つのブースを開放しています。今では多くの若者たちがここを「卒業」し、会社を立ち上げるなどの活躍が目立つようになってきています。 エーラウンドの地域は言問通りから北側および馬道通りと隅田公園に挟まれた三角形の一帯です。四ケ所の大会場があります。南から水上バス乗り場の後ろの隅田川リバーサイドギャラリーです。ここを主催者はゲートウエイ(入口)と名付けました。次に浅草6丁目の歩行者天国に「浅の市」今戸1丁目の吉野公園に「革の郷広場」と、橋場1丁目の「浅草ものづくり工房」の4カ所を基点に据え、三日間の祭典を開催しました。 浅草北部のこの地は隅田川によって革をなめすのに必要な水に恵まれ、明治維新後の西洋靴(軍靴)普及の波を捉えて、近代皮革産業発展の中心地となりました。製甲(アッパーの製作)や底付け(ソール)の製作など専業の職人、革問屋、各種金具販売といった関連業種が集まり、現在でも革靴の生産出荷高は神戸や大阪をおさえて日本一を誇ります。 各展示場を回ってみるとやはり多いのは革製品、靴、カバン、バンド、革ジャンバー、珍しかったのはヌメ革で作った動物です。ヌメ革とは植物の渋に含まれる成分のタンニンでなめした皮革です。動物の人形は精密によく出来ていました。 浅草6丁目の浅(せん)の市は歩行者天国で販売も音楽イベントも路上です。15日午後、富士小学校吹奏楽部のマーチングを見ました。吹奏楽にあわせて旗を振ったりフラフープを回したりとても見事でした。毎年全国大会に出場の常連校だそうです。 16日午後には、大江戸助六流竜神太鼓が登場しました。根津神社を中心に活動する和太鼓のグループです。メンバーは中学生から社会人まで。全員女性で構成しています。 後日、この浅草エ―ラウンドは「おかげ様で今回も成功しました」との報。今後もさらなる発展を期待せずにはおれません。
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